女の子のための現代アート入門―MOTコレクションを中心に

入門にはとても良い本です。◯この本のいいところ◯なぜ「女の子のための」なのか？◯男性が読むのに不向きか？の３点を、感想ふまえて書いていきます。◯この本のいいところ 本文がとても読みやすいです。重要な部分がかいつまれてあり、そのうえで幼稚な文章ではありません。 カタカナ横文字が多い、というレビューがありましたが 展示要録、またアーティストが頻繁に使う言語を そのまま使用しています。(なので、まるっきり初心者の方より、美術を少し学んだ方の方が理解は深まるかもしれません。) 初心者殺しや見栄だけの横文字は、書いてないので安心してください。 ひとつ注意としては、冒頭でも挙げた通り、重要な部分の表皮をかいつまんでいます。 あくまで入り口としての知識であり、「これってつまり何だろう？」と調べるきっかけを丁寧につくっている、という印象でした。◯なぜ「女の子のための」なのか？ なぜ女の子限定なのか？気になり読んでみました。 理由は簡単、よく言えばまんべんなく効率がいい、悪く言えば広く浅い本です。 男性の方が、狭く深く追求することが比較的得意な方が多いためでしょう。 筆者はあとがきにこう書いています。「ふにゃふにゃの、自分の形がまだきまらない、でも変わりたいと思っているたよりない女の子が、いろんなアートに出会うたび、(中略)この本を思い出してくれたらと思うのです」現代アートは幅が広い分、とっつきにくく、入り口で諦めてしまうことが多いのではないでしょうか。広く浅く取りかかるのが得意な女性は、難解そうなものに対しては諦めが早い傾向があります。そんな女性たちにむけて このタイトル、なら納得です。◯男性が読むのに不向きか？ 他の方も書かれているように、入門書としては男女関係なくおすすめします。 強いて言えば、序文とあとがきに限り、「共感しながら理解したい女性向け」です。 しかし本文は至って冷静で、作者の感情が強く現れている印象もありません。まずは現代アートを知りたい、表紙が多少恥ずかしくても構わない、という男性にはおすすめです。 ただ、現代アートを深く細やかに知りたい、というかたにはお勧めしません。この本はあくまで、きっかけとして優れた書籍です。個人的な感想ですが、タイトルで男性を排除してしまうのはとても勿体無い本だと思います。是非いろんな人に、読んでほしいです。