日本で100年、生きてきて (朝日新書)

著者は元朝日新聞記者。歳を重ねる毎に頭脳明晰になるとの言葉に引かれた。あやかりたい。冒頭、「ヒトラーのナチスがやった戦争犯罪すべてをドイツ国民（が）みんなの責任として詫びた。」その謙虚さが今、ＥＵをリードし、西欧に逃れるシリア等難民の大半を受け入れる力に。某国に総括、反省、謝罪はあるのか。・・「１００年で一番うれしかったのは美江（妻）と出会ったこと・」の女房感にはただただ敬服。領土問題には「地下資源が出るなら共同で会社をつくって分け合って利用すればいいんです。それが本来の地球のあり方、それしかないんだ。」日中韓のぎくしゃくに「どこで暮らしていても、隣近所が仲良くしていないと、穏やかに安心して暮らせないんだ。おいしいおかずができたら『これ作ったよ。食べて』って持っていけばいいんだ。それで安心できる地域ができていく」。幼稚園建設反対運動について「子どもが通園するときに、近所の人が花に水あげながら『おはよう』と声をかける。子どもたちはそれに応えて返事をする。そして自然に挨拶が広がっていき、地域全体が仲良くなっていく。」「沖縄でタクシーの運転手が話した『復帰前の沖縄では女子高校生が学校からの帰り道、戦々恐々だったって。歩いていると米兵がジープで寄ってきて車の中に連れ込んで乱暴して、まるでボロを捨てるように道端へ投げていった。なのに沖縄県民は何も言えなかった・・。』それを聞いて胸が詰まってな。・・・これを解消するには、どうしたらいいか。アメリカに『日本を守ってください』とお願いしなければいいんですよ。そうすれば米軍基地はいらないでしょ。・日本は、『自分の国は自分で守る』と言って、中国や韓国などと仲良くすればいいのよ。」・・「ともかく、この年になって確信できたことは、人間は何のために生まれて何のために生きているか、ということへの答えだ。前も言ったけど『喜ぶため、楽しむため』だ。泣くためではなく、笑うため。それでねばだめだ」。決して、戦争で人々を殺し、苦しみながら死んで行く為に生まれて来たのではない。・・・ともあれ、６０代を超えてこの書に触れると、あと４０年は長生きできそうだ・・。